初めて子犬を迎えた方は、子犬を迎えてもどのように対処すれば良いか分からないという人も多いと思います。そこで、ここでは子犬が過ごすスペースの環境設定についてお話します。
しつけやトレーニングも大切ですが、そもそも環境設定が子犬に適したものになっていなければ、しつけもトレーニングも無意味です。環境設定は一番大事な項目ですので、これから子犬を迎える予定の方、迎えたばかりの方は是非見ていってください。
- 子犬の生活環境に適さないこと
- 子犬の休憩スペース(クレート)とトイレの設置
子犬の生活環境に適さないこと
まず、子犬の生活環境として、推奨されないものをお話しします。それは
「広すぎる行動範囲」
です。
子犬を迎えたその日から、1フロア自由にさせている方もいらっしゃいますが、トイレのしつけが困難になりますし、将来的には警戒吠えを助長させかねません。誤飲のリスクも高まりますので、子犬のうちはサークルやクレートを使用して行動を制限し、ワンちゃんを守ってあげましょう。「閉じ込めて可哀想」というのはナンセンスです。ワンちゃんの命を守るために大切なことです。
サークルから出してあげてもいいのは、飼い主さんが見てあげている間だけです。たとえ30秒でも目を離すのであれば、サークルに入れて安全を確保するようにしましょう。
サークルの外に出すのは、
- 遊んであげるとき
- お散歩
- クレート・サークル内のお掃除
だけです。
トイレを覚えたら、外に出す時間を徐々に長くしても大丈夫ですが、誤飲のリスクはあります。ワンちゃんの行動範囲内に、ワンちゃんが飲み込んだら危険なものがないか、よく確認しておきましょう。
子犬の休憩スペース(クレート)とトイレの設置
子犬には安心して眠れる場所が必要です。ベッドだけ置いている方もいらっしゃいますが、出来ればクレートを購入しましょう。ワンちゃんも薄暗い場所を寝床として好みます。クレートにタオルなどをかけて暗くしてあげると、「ここは寝る場所だ」と思ってくれるでしょう。
しかし、外が見えないと余計不安が強くなる子もいますので、そのような場合は外が見えるように配慮してあげてください。
クレートの外はサークルで囲いトイレを作ります。トイレシーツを敷くだけでも問題ありませんが、出来ればトイレトレーがあった方が、シーツを囓るなどの悪戯を防止できます。
完成するとこのようになります。最初の2ヶ月くらいは、遊びと散歩以外はほとんどこの中で過ごします。
クレートを設置する場所は、
- 外の音(人や犬の声)が聞こえにくいところ
- 外(通行人など)が見えないところ
- 人があまり通らない場所
- ワンちゃんから飼い主さんが見える場所
- 直射日光が当たらない場所(特に夏)
が適しています。よほど広い家出ない限り、これらすべての条件を満たした環境を用意するのは困難でしょう。すべてを満たしていなくても大丈夫です。少しでも多くを満たした環境を作ってみてください。どの条件を優先すべきかはワンちゃんの性格によって変わります。
ここからはなぜこれらの条件が必要なのかを解説します。
外の音が聞こえにくい環境
前述の通り、クレートはワンちゃんの寝床です。うるさい場所は安眠を妨げますので、避けるようにしてください。
騒音でなくても、人や犬の声が外から聞こえてくると気になる子もいます。夏になって、窓を開けることが多くなる季節は、無駄吠えの相談件数が増加する時期です。人にとっては何でもない音が、ワンちゃんにとっては非常に不快な刺激になることもあります。特に音に敏感なワンちゃんは、クレートの設置場所を決めるとき、静かな場所を選びましょう。
外が見えない環境
外はいろいろなものが通っています。人、散歩中の犬、ノラ猫、自動車、バイク、下校中の子供たち、小鳥などなど……。ワンちゃんが若いうちは時に好奇心旺盛ですので、窓の外に動くものが見えるたびに気になってしまいます。
また、ある程度成長して縄張り意識が強くなってくると、家の近くを通るものを追い払おうとして、吠えるようになることもあります。その対策は、家の前を人や動物が通っていることに気づかせないようにすることです。つまり「見せない」「聞かせない」が重要です。無駄吠え防止の観点からも、クレートを道路に面した窓際に設置するのは避けた方が良いでしょう。
人があまり通らない環境
廊下にクレートを置く方もいらっしゃいますが、廊下は避けた方がいいでしょう。廊下は、人がよく通る場所です。トイレに行くとき、郵便受けを見に行くとき、寝室に行くとき、などなど。
そのたびにワンちゃんは安眠を妨害されることになります。睡眠は生命維持のために必要な休息行動ですので、妨害されれば攻撃的になることもあります。よけいな攻撃性を助長させないためにも、クレートを設置するときは家族の行動がワンちゃんの安眠を妨害しない場所にしましょう。居間の隅っこなどは比較的クレートの設置場所として適しています。
ワンちゃんから飼い主さんが見える環境
前述の通り、人があまり通らない場所はクレートの設置場所として適しています。しかし、完全に別室でひとりぼっちになってしまうと、不安を抱いてしまいます。特に子犬のうちは、悪戯防止や健康管理のためにも、ワンちゃんをよく観察する必要があるので、飼い主さんが過ごす時間が最も長い部屋にクレートを設置するようにしましょう。
直射日光が当たらない環境
人間も寝るときには電気を消すように、ワンちゃんたちも明るい場所は寝床として好みません。直射日光が当たらない環境で、必要に応じてタオルなどを掛けてあげるといいでしょう。また、夏は気温が上昇してしまいますので、日向は避けましょう。
おわりに
以上が、子犬を迎えた初日にやるべき環境設定です。環境設定は、しつけの基本です。ここをおろそかにしたままトレーニングしても効果がないばかりか、犬にストレスをかけるだけです。何を教えるにも、まずは環境設定が出来ていることが大前提であることを明確にしておきたいと思います。