以前日本で大人気だったゴールデンレトリーバー。現在では小型犬ブームにより、以前よりは飼育頭数が落ちているものの、大型犬に限ればまだまだ人気上位の犬種です。私も小学校の頃から2頭のゴールデンレトリーバーを飼いました。人生の半分以上、ゴールデンレトリーバーと一緒に生活してます。このんな私が、ゴールデンレトリーバーの魅力や、どんな方におすすめの犬種なのか、どんな方にはオススメできないのか等を解説します。
ゴールデンレトリーバーの歴史
ゴールデンレトリーバーの起源は不明な点も多く、参照する資料によって食い違いも見られます。ここでは、分かっている内容だけを抜粋して取り上げることにします。
ゴールデンレトリーバーの発祥は19世紀の英国 スコットランド
ゴールデンレトリーバーは、19世紀末にイギリスのスコットランドで生まれました。フラットコーテッドレトリーバー、トゥイード・ウォーター・スパニエル(1900年頃絶滅)その他ミックス犬を数回にわたり交配して生み出されたといわれています。初期の頃は「Flat-coated Retriever, Golden(フラットコーテッドレトリーバー ゴールデン)」と呼ばれていました。
英国での犬種登録は1903年が初、当時はフラットコートの一系統という扱いでした。その後1911年に別の犬種として認められ、「Yellow or Golden Retriever」という名称が使われ始めます。その後1920年代に「Yellow or」がなくなり、現在と同じ「ゴールデンレトリーバ-」という名称が使われるようになりました。
アメリカ・カナダで人気犬種となる
1920年代からゴールデンレトリーバーは西洋諸国で爆発的な人気犬種となりました。カナダでは1927年、アメリカでは1932年にそれぞれの国内で繁殖が確認されています。アメリカではそのフレンドリーで陽気な性格から大人気犬種となりました。
ゴールデンレトリーバーのタイプ
ゴールデンレトリーバーはイギリス系とアメリカ系の2系統があり、日本のゴールデンはアメリカ系が圧倒的に多いです。アメリカ系は毛の色が濃く、ストレートでふわふわなのが特徴。性格はイギリス系よりも陽気で人懐っこい性格をしています。逆にイギリス系は色が白っぽく、毛にウェーブがかかっている個体が多いのが特徴です。性格はアメリカ系に比べて、怖がりな個体が多めですが攻撃性は低いです。
ゴールデンレトリーバーの性格と魅力
ゴールデンレトリーバー(特にアメリカ系)は人に対する警戒心があまりなく、初対面でも嬉しそうにすり寄ってくる子が多いです。初対面でここまで気を許してくれる犬はゴールデンレトリーバーを含め数種類しかいないでしょう。初対面の場合は多少なりとも警戒するのが普通です。
とにかく優しい性格で、攻撃性が低く甘えん坊な犬種です。ペットに癒しを求める方には、これ以上オススメの犬種はいません。子供にも優しいのでお子さんのいる家庭にもオススメできます(※)。人と関わるのが大好きな犬種なので、ゴールデンレトリーバーを迎えたら、是非たくさん遊んであげてください。
ここがちょっとイマイチ……
これまで、ゴールデンレトリーバーの魅力をお伝えしてきましたが、もちろんマイナスな面もあります。もちろん魅力を考えれば些細なことですが、飼ってから「こんなハズじゃなかった」ということがないよう、事前にマイナス面も理解しておきましょう。
甘えん坊すぎ?
とにかく人が大好きなのでドッグランなどに行くと、飼い主をほったらかして赤の他人に愛嬌を振りまいているなんてことも珍しくありません。独占欲が強い飼い主さんには向いていないかも?
また、人と遊ぶのが大好きすぎる故、人を見ると興奮してしまう子が多いです。外出先で人に飛び付いて怪我をさせることがないよう、しっかりしつけておく必要があります。
老後の介護
全ての大型犬に当てはまることですが、老化で歩けなくなったときの介護は一苦労です。小型犬であれば抱っこも容易ですが、大型犬ではそうもいきません。ワンちゃんが歩けなくなったときどうやって病院へ連れて行くのか、駐車場の車までどうやって運ぶのかなども事前に考えておくようにしましょう。
ゴールデンレトリーバーはこんな人にお勧め
魅力いっぱいのゴールデンレトリーバーですが、万人ウケするわけではありません。ここからは、ゴールデンレトリーバーをオススメしたい方の特徴をお話しします。
癒やされたい方
とにかく甘えん坊で、攻撃性の低い犬種です。癒し系としてはNo.1でしょう。タイムアタックのドッグスポーツなどには興味がなく、純粋にペットに癒しを求める方には一番おすすめの犬種です。とにかく人が大好き、遊ぶのが大好き! 子供に対する攻撃性も低く、お子さんがいる家庭でも安心です。もちろん基本的なしつけと管理は必要ですが、それさえクリアできればベストパートナーとなってくれます。
ワンちゃんと一緒に様々な活動に参加したい方
飼い主さんと活動することが大好きなので、トレーニングがしやすく、ドッグダンスやK9ゲームなど、素早い動きを要求されない活動には向いています。優しい性格なので、教育現場で子供たちと触れ合う活動をしている方もいらっしゃいます。ただし、全ての個体に適性があるわけではありませんので、お迎えしたワンちゃんの性格的特性を考えて、どの活動に参加するか決めましょう。
初めて犬を飼う方・大型犬を飼う方
初めての犬、若しくは初めての大型犬として一番お勧めなのが、ゴールデンレトリーバーです。人が大好きなので、よく飼い主に注目してくれますし、しつけもしやすい犬種です。「小型犬の方が飼いやすい」と考える方が多いのですが、残念ながら正しくありません。小型犬は目線が低く常に周囲から威圧感を感じているため、体が小さいほど攻撃的な個体の割合が多くなります。そのため、ワンちゃんの気持ちを落ち着かせたり怖がっているものに馴れさせる高度なテクニックが要求されます。ゴールデンレトリーバーのような大型犬は、威圧感を感じることが少ないので、攻撃性が低くおおらかな性格になりやすいです。
こんな方にはお勧めできません
どんなに人気があっても、万人受けする犬種は存在しません。では、ゴールデンレトリーバーが合わないのはどんな方でしょうか。
アジリティなど激しいドッグスポーツを本格的に楽しみたい方
性格的にもおっとりした個体が多く、動きも俊敏さに欠けます。アジリティのようなタイムアタックを狙うドッグスポーツは向いていないでしょう。もちろん不可能ではありません。「気分転換のためにアジリティをやってみる」程度であれば十分こなせます。実際、ゴールデンレトリーバーでアジリティ競技に出られている方もいます。しかし、大会で上位入賞を狙いたいというのであれば他の犬種をお勧めします。
↑アジリティ大会で上位入賞を目指すのであれば、ボーダーコリーやコーイケルホンディエがオススメ犬種。ただし、しつけ難易度はトップクラスです。
しつけをする気がない方
ゴールデンレトリーバーはしつけしやすい犬種ですが、それはあくまでも他の犬種と比較した場合の話しです。けして苦労がないわけでも、しつけが不要なわけでもありません。生き物を飼う上でしつけは必須です。これは犬に限ったことではありません。このブログで紹介しているオススメ犬種は「しつけをする」ことが大前提となっています。しつけをしないのであれば、オススメできる犬種はありません。犬は諦めてアイボをご購入ください。
アパート・マンションにお住まいの方
ゴールデンレトリーバーは大型犬ですので、ペットOKの集合住宅でも大きさの規定から外れてしまうことが多いです。どうしてもゴールデンレトリーバーを飼いたいという方は、大型犬OKの物件を探すか、戸建て住宅に引っ越す必要があります。ワンちゃんとお庭で遊ぶことを考えると、大型犬OKの集合住宅より、庭付きの戸建てがオススメです。
番犬が欲しい方
人懐っこさナンバー1のゴールデンレトリーバーは、ドロボーにも簡単に手なずけられてしまう確率が高いので、番犬には向きません。ドロボー対策でしたらセキュリティ会社に相談しましょう。
ゴールデンレトリーバーの値段
近年のペットブームで値段は高騰しています。ゴールデンレトリーバーも例外ではありません。私がゴールデンを飼った頃は20万円前後でしたが、令和4年現在では30万~50万円が相場です。
交配させる前に遺伝性疾患のための遺伝子検査を実施しているブリーダーさんの場合、子犬の価格は高くなります。私でしたら、価格が上がってもしっかり検査されているブリーダーさんから子犬を迎えたいですね。
そして、なるべく両親犬に会ってから購入を決めましょう。性格は遺伝する部分もありますので、迎えた子犬が将来どんな性格になるのか、ある程度イメージできます。
ゴールデンレトリーバーの写真
生後2ヶ月たっていないくらいでしょうか。コロコロでかわいいです。
生後2ヶ月くらい、しつけはこの頃から始めないといけません。
生後3ヶ月~3ヶ月半、しつけの基礎をやるべき社会化期は終わってしまっています。
こちらは成犬、2歳くらいです。きちんとしつけをすればドッグカフェなどで、飼い主がお茶を飲んでいる間、大人しく待っていてくれます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ゴールデンレトリーバーは大型犬ですので、ハンドリングでは多少苦戦するかもしれませんが、しつけしやすく飼い主の心をいやしてくれる優しい犬種です。もしあなたがペットに癒やしを求めるのであれば、ゴールデンレトリーバーはナンバー1候補ですよ。
参考文献
愛犬の友編集部編(2018)『もっと楽しいゴールデン・レトリーバーライフ』誠文堂新光社
佐草一優監修(2005)『人気の犬種図鑑174』日東書院