問題行動の止めさせ方

犬に新しい行動を教えるときは、褒めて伸ばすというお話は「トレーニングの基本方針」のページでお話ししました。このページでは、逆にやって欲しくない行動を止めさせる方法をご紹介します。

行動の止めさせ方



悪戯など、して欲しくないことを止めさせる方法、というと「叱る」ことを真っ先にイメージされる方が多いのではないでしょうか。叱ることも効果はありますし、全く叱らないでしつけをすることは非現実的です。しかし、安易に叱ることは副作用があり、他の問題行動を誘発しかねません。叱る前に他の方法で対処出来ないか検討しましょう。

行動を止めさせたいときの対処法をまとめました。重要度が高い順に記述しています。

  • 身体に異常がないか確認
  • 環境づくり
  • ストレスを発散させる
  • 別の行動に置き換える
  • 罰を使う(推奨しません)

身体に異常がないか確認

ここは一番見落としがちなポイントです。問題行動というと、つい躾やトレーニングという発想をしてしまいがちですが、疾患が主な原因となっている問題行動もあります。

例えば、突然トイレの失敗が頻発するようになったのだとしたら、膀胱炎の疑いがあります。体を撫でても大丈夫だったのに、特定の部位を触ったら唸るようになった場合は、その部位が痛むから嫌がっているのかもしれません。これらのケースでは、トレーニングは不要です。病気さえ治ってしまえば、問題行動はなくなるからです。逆に病気が治らなければ、どんなトレーニングをしたところで行動の改善は望めません。重要なことは、問題行動の原因を取り去ることです。

体の疾患が原因となっている問題行動は他にもたくさんあり、特に急に行動が変わったという場合は注意が必要です。トレーナーに相談する前に、獣医師の診察を受けてください。



環境作り

子犬を迎えたときに環境設定をしていても、悪戯や吠え等の行動が出ることがあります。そのようなときは原因となっている要素を取り除く、若しくはワンちゃんが接触できないようにすることが大切です。

例えば、
トイレシーツを噛む → トイレトレーを使用する
外に向かって吠える → 外が見えないようにする

等です。

ストレスを発散させる

ワンちゃんたちは暇な時間が大嫌いです。やることがなく退屈ですと悪戯を始めます。退屈な時に、何か楽しいことを求めるのは人間の子供も同じですね。そのような場合は日常的な遊びの時間を増やして上げましょう。欲求が満たされて満足すれば悪戯する必要がなくなりますし、疲れて寝てしまえば悪戯できません。欲求不満のまま悪戯したときに叱っても、余計ストレスが溜まり他の問題行動を誘発させかねません。遊びと休憩のメリハリをつけることが大切です。

別の行動に置き換える

たとえば、カーテンやテーブル、椅子などの家具を囓るのであれば、囓って遊ぶためのおもちゃを与えておきましょう。コング、ナイラボーン等、かじって遊ぶための犬用玩具があります。それらのおもちゃを囓ることが習慣になれば、家具などを囓る頻度は減ります。オモチャを購入する際は、大きさに注意してください。小さすぎると飲み込んでしまい、最悪の場合喉につかえてしまいます。大型犬の子犬は、1ヶ月で見違えるほど大きくなりますので、大きいオモチャに買い換えが必要になります。


 

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コング(サイズM)
コングパピー用(サイズM)

これらのオモチャの安全性についてですが、100%の保証はありません。破壊して飲み込む危険性はありますので、絶対に与えっぱなしにはしないでください。10分程度でしたら問題ありませんが、1時間以上放置してしまうと、破壊して飲み込むのに十分すぎる時間を与えてしまうことになります。10~15分程度遊ばせたら回収するようにしましょう。回収するときは、大好きなフード(1粒、 多くても2~3粒で十分です)と交換するのがお勧めです。ただ取り上げるだけだと、次から離さなくなったり、取り上げようとすると怒る子もいます。「オモチャで遊ぶのは終わり、でも代わりにおいしいものが食べられる」と覚えさせれば、オモチャの回収がしやすくなります。回収したオモチャは、ワンちゃんが見えないところに保管してください。



罰を使う(叱る)

トレーニングの基本方針でもお話ししましたが、叱る(罰を使う)必要な場合もあります。全く叱らないしつけが非現実的なのは、子供のしつけと同じです。

しかし罰の使用は、刺激の強さやタイミング、一貫性など、注意しなければならないことが多く、難易度は非常に高いです。やむを得ず罰を使用する場合は、必ずトレーナーの指導を受けてください。

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