車を所有していると、愛犬を車に乗せる機会は意外と多いものです。旅行へ行くときや近くの病院へ行くときなど、走行距離にかかわらず悩みの種となるのが、ワンちゃんの車酔い。この記事をご覧の方も、
- 愛犬の車酔いが治らずに悩んでいる
- 愛犬が車の中で吐いてしまい、掃除が大変だった
- どんなに走行距離が短くても愛犬が車酔いしてしまう
という方ではないでしょうか?私も、新車に買い換えた直後、まだ子犬だった私の愛犬に車内で吐かれたことがあります。幸いクレートに入っていたので、車は汚れませんでしたが、シートを汚してしまったという方もいらっしゃることでしょう。
この記事では、元旅客運行管理者であるドッグトレーナーの筆者が、車酔い防止につながる運転のポイントや、正しい車酔いの治し方について解説します。
犬の車酔い原因3選
車酔いの原因も一つではありません。まずは筆者が考える車酔いの原因トップ3をお伝えします。
無駄な加減速やハンドル操作が多い
無駄な加減速・無駄なハンドル操作は改めない限り、ワンちゃんの車酔いが改善することはないでしょう。安全面からもこれは避けたいところです。この原因のやっかいなところは、ドライバーに乱暴運転の自覚が全くないということ。
判断基準としては、
- 10万キロ走行に1回以上の頻度で、警察に止められる
- 横断歩道で歩行者を気にしない
- 一時停止箇所で、停止線での一時停止をしない
- 走行している道路の法定速度もしくは規制速度を把握していない
- 赤信号を一つ回避するために、脇道を走行する
- 左折車を待つことが出来ず、反対車線から追い越す
これらの項目で3つ以上該当する方は、一度ご自身の運転を見直した方がいいと思います。よほど問題があるか、先急ぎの心理が強すぎるため、無意識に雑な運転になっている可能性が高いです。
車内の匂いがキツい
車内の独特な匂いも、車酔いの原因になります。人間にとっては、それほど気にならない新車の匂いも犬にとっては不快なものです。新車の匂いを楽しみたいという方もいらっしゃると思いますが、ワンちゃんの車酔い対策を優先するなら、消臭剤などで対策した方が良いでしょう。
条件反射
これは、何度も車酔いを経験した場合に起こる現象です。条件反射による車酔いの特徴は、車が走行していなくても、車内に入っただけで気分が悪くなるということ。これを治すには根気が必要となりますので、出来ればこうなる前に対処したいところです。
車酔い対策
ここからは、それぞれの原因を踏まえた対処法をお伝えします。
安全運転で無駄な加減速・ハンドル操作をなくす
無駄な加減速やハンドル操作、特に強い加減速や急ハンドルが多い運転は、車酔いの原因となりますのでひかえましょう。
筆者はドッグトレーナーになる前、バス会社で旅客運行管理に従事しており、様々な安全運転講習に参加してきました。そのとき学習した内容と経験からいえることは、無駄な加減速が多いドライバーは車間距離が狭いということです。時速40キロで走行する場合、車間距離は30メートルほど開けましょう。乗用車6台分の長さです。意外と長いですよ。教習所で教える25メートルは、あまり余裕があるとはいえません。40キロ走行時の車間30メートルは、前の車が走っている場所を3秒後に通過するくらいの距離です。ちなみに70キロ以上で走行する場合は4秒分空けましょう。
もう一つ、距離を測る基準となるオススメのものがあります。それは、片道2車線以上の道路に左車線と右車線を分けるためにひかれる「区画線」と呼ばれる白い点線です。これは、長さが決められており、一般道では6メートルの白線が9メートル間隔、高速道路では8メートルの白線が12メートル間隔でひかれています。よって白線の始まりから次の白線の始まりまでの距離は、一般道では15メートル、高速道路では20メートルとなります。60キロで一般道路を走る際は、白線+間隔4つ分以上の車間距離が必要となります。
加減速だけでなく、無駄なハンドル操作も止めましょう。左折で歩行者待ちする車をギリギリでハンドル操作して右に交わす人をよく見かけますが、安全対策・車酔い対策、両方の意味で論外です。
絶対に交わしてはいけないわけではありません。車線の幅員に余裕がある場所で、後方確認をしっかりした上で徐行し、ハンドル操作を最小限にしながら交わすのであればまだい良いでしょう。
問題は、「前の車が左折=右へハンドルを切る」と習慣付いてしまっている方。このような方は後方確認も出来ていませんし、車間もとれていません。そもそも、車間が充分にとれていれば少し減速するだけで、自分が交差点に到達するころには、前の車は左折が完了していることが多いです。歩行者がいなければ左折は数秒で完了します。その左折車をいちいち右に交わすことでどのようなメリットがあるのでしょうか? 仮に何回か繰り返したとしても、せいぜい到着時刻が数分早まるだけです。そんなことのために安全を犠牲にし、ワンちゃんが車酔いしているのだとしたら、あまりにも馬鹿馬鹿しい行為です。
無駄な加減速・無駄なハンドル操作が減れば、乗っているワンちゃんが乗り物酔いするリスクが減ります。「速度を抑制できない」「車間距離をとれない」「待てない」はドライバーのべからず集です。
待てないドライバーは左折車が左折する数秒間すら待つことが出来ません。とにかく先急ぎの心理が強いので、車間も詰めて走行しています。
安全且つ愛犬が車酔いしにくい運転の前提条件は、余裕があること。
左折車を右から追い越す危険性についてはこちらの動画をご覧ください。1:10から始まる事故では、左折車を減速もせず追い越した結果、相手方が横転する重大事故を惹起させています。治療費、車の修理費、保険料の増加などを考えたら、数秒~数十秒の左折待ちなど1000回繰り返したところで、大した時間ではないでしょう。
車内の匂い
こればかりは、道具に頼るしかありません。消臭剤を使いましょう。芳香剤は逆効果なので避けてください。私が実際使ってみて、効果があった消臭剤の販売リンクを張っておきます。
本商品は対象物に直接使用しなくても効果を発揮します。車のシートのようにシミになっては困る物には噴霧せず、雑巾などの布に本製品を軽く噴霧し、車のダッシュボードの上に置いておくと良いでしょう。
条件反射
一番やっかいなのは、この条件反射による車酔いです。車に乗って気分が悪くなるという経験を何度も繰り返すと、エンジンをかけていない車の中に入っただけで酔ってしまうようになります。これは何度も車酔いを経験し「車=気分が悪くなるもの」という認識ができあがってしまったためです。
これを確実に払拭するには、「車に乗ったけれど気分が悪くならなかった」という経験を繰り返しさせるしか方法はありません。ワンちゃんを車に乗せて、気分が悪くなる前に降りてしまうトレーニングを毎日繰り返しましょう。ワンちゃんが酔う前に車から降りなければ意味がありませんので、最初はかなり短い時間から始めます。
この「短い時間」という表現は抽象的で誤解を招くので、具体的にお伝えします。最初は3秒から始めてください。「短い時間」を「近くの公園まで5分ドライブして帰ってくる」程度にお考えの方が多いのですが、それでは長すぎます。条件反射で車酔いしてしまうワンちゃんは、数十秒から一分で気分が悪くなってしまいます。ですので最初は、車のエンジンをかけないで、「乗ってすぐに降りる」を繰り返しましょう。このトレーニングはお散歩で外出するとき、ついでにやるがオススメです。
2~3日繰り返したら、車内の滞在時間を5秒、10秒、20秒と増やしてください。1分まで増やせたら、車のエンジンをかけてみましょう。但し、発進はしません。あくまでも停止状態の車で少しずつ馴れさせてください。ここまで、1週間から10日程度はかかると思います。
2~3分車の中にいても酔わなくなったら、車を走らせてみましょう。住宅街の一番小さいブロックを1周して帰ってきます。時間にして2~3分で帰れるルートを選んでください。徐々に車の走行時間を長くして行けば、1ヶ月程度で効果が出ると思います。
ただし、前述の安全運転と匂い対策がきちんと出来ていなければ意味がありません。
まとめ
如何でしたか?車酔いも習慣化すると治すのに余計な手間がかかります。出来れば、運転方法と消臭だけで対応できるよう、普段から余裕のある運転を習慣づけてください。